アッパー・ガイザー・ベイスン  デイズィー・ガイザー
 イエローストーンの熱水現象の種類  リバーサイド・ガイザー
 見学プランの作成  モーニング・グローリー・プール
 アッパー・ガイザー・ベイスンの主な間欠泉  グランド・ガイザー
 オールド・フェイスフル・ガイザー  オブザーベーション・ポイント
 キャッスル・ガイザー  ビスケット・ベイスンへ
 グロットー・ガイザー  

アッパー・ガイザー・ベイスン

オールド・フェイスフル・ビレッジの北に隣接するオールド・フェイスフル・ガイザーやガイザー・ヒル Geyser Hill を含む一帯からファイアーホール・リバー Firehole Riverに沿って北上し、ロワー・ループ・ドライブの外側のビスケット・ベイスン Biscuit Basin までの地域およびオールド・フェイスフルの東側同じくループ・ロードの外側に位置するブラック・サンド・ベイスン Black Sand Basin の一帯を総称し、アッパー・ガイザー・ベイスンと呼ぶ。 この一帯には150もの間欠泉があり、その集中度は世界一といわれる。
間欠泉は当然のことであるがどれもその噴出間隔、噴出熱水量、噴出高度、噴出持続時間、噴出パターンなど異なり、最もポピュラーなオールド・フェイスフル・ガイザーとその他の勇壮な間欠泉の噴出を1つでも見るとさらに他のガイザーの噴出も見たくなるというものだ。 したがってオールド・フェイスフルに泊まり、最低丸1日はこの周辺の散策を楽しむことを推奨する。 私達の場合には夕刻7時ごろに到着しここに2泊したが、それでもブラック・サンド・ベイスンはスキップせざるを得なかった。

イエローストーンの熱水現象の種類

ガイザー          雨水や雪解け水は地中の浸透性の岩石の層を通過し、公園の下のマグマによって過熱された岩と接触し、水分は沸点以上に加熱されるが、上方の水の重量による圧力のため沸騰しない。 この加熱水が岩の亀裂を通り上昇していくと次第に上からかかっている圧力が減じ、爆発的に沸騰し熱水を吹き上げる。 これがガイザー Geyser だ
ホット・スプリング
     ホット・スプリング Hot Spring 温泉はガイザーと似てはるが、上部からの圧力がそれほどでもないため沸騰し、蒸気を放出する。 爆発的なエネルギーは発生せず、水面を保つプールと、温泉が湧出する流出型とに分けられる。 マンモスのテラスを作ったのは炭酸水を含んだ後者のタイプだ。
マッドポット         水蒸気が岩が地下水によって溶かされ粘土と化した層を通過する際に熱せられた粘度の高い泥水となって地表に出てくるものをマッドポット Madpot と呼ぶ。
フマロール          地中に浸透する水分の量がガイザーやホット・スプリングのように豊富でない場合、加熱された蒸気は地下の亀裂を通って勢い良く地上に出、そのスピードが速いときなどにはシューシューと大きな音を立てる。

Time Tableアッパー・ガイザー・ベイスン見学プランの作成

オールド・フェイスフルの周辺に位置するアッパー・ガイザー・ベイスン Upper Geyser Basin は良く整備されているが、広大だ。 しかもガイザー Geyser = 間欠泉は邦訳の通り間欠的に噴出する熱水だ。 そのためにせっかくこの地まで足を運んでも全く熱水が吹き上げる瞬間に遭遇しないと言う悲劇も容易に起こる。 ただ幸いなことにアッパー・ガイザー・ベイスンの間欠泉噴出の間隔は比較的一定している。 そして主要なガイザーのおおよその噴出時間がオールド・フェイスフルのビジター・センター内部に掲示されている。 右の写真がそれだ。 例えば一番上に記載されているオールド・フェイスフルの場合には次回の噴出予想時間が09:36AMの前後10分間で、噴出高度106-184フィート、噴出間隔45-127分、噴出持続時間1.5-5分間というように表示されている。
これらの時刻を50セントで手に入る「Old Faithful Area Trail Guide」に書き入れて、どのように周れば効率的に見たいガイザーの熱水噴出を見られるかプランをたてるのが肝心だ。 なおこの時刻表に記載されている予想時間は当然のことであるがあくまで予測で、その時間が来ても噴出すると言う保証は無い。 誤差時間を考えてどうしても見たいガイザーでその噴出間隔が長いものについては優先的にプランに組み込み、しかも予想される最も早い噴出時間にはその場所に到着して気長に待つことだ。 また噴出持続時間が長いものの場合には時間に遅れたと思ってもだめ元で駈けつけてみるべきだ。

アッパー・ガイザー・ベイスンの主要な間欠泉

アッパー・ガイザー・ベイスンは、1)オールド・フェイスフル・ガイザーからビスケット・ベイスンへ行く途中のモーニング・グローリー・プールまでの細長いエリア、2)ビスケット・ベイスン、そして3)ブラック・サンド・ベイスンの3つの地区に大きく分けることが出来る.
次の一覧表は2001年7月17日にオールド・フェイスフルのビジター・センターで入手したリストからの抜粋である。 前記の50セントの地図で確認すると分かることだが、主要なガイザーはオールド・フェイスフルからビスケット・ベイスン Biscuit Basin ヘの舗装道路沿いか、オールド・フェイスフル・ガイザー裏のガイザー・ヒルから舗装道路脇のグロットー・ガイザーへ向う木道沿いにある。 すなわち上記の1)の地域である。.

名称 平均噴出間隔または最後の噴出日 噴出持続時間 噴出高度
(フィート)
所在地
Beehive 14-18時間 5分 150+ ガイザー・ヒル手前
Castle 12時間04分 15-20分 75 オールド・フェイスフルからビスケット・ベイスンへの舗装道路を少し行った所。
Daisy 2時間10分 3.5分 80 オールド・フェイスフルからビスケット・ベイスンへ向う道路の中程、グロットー・ガイザー手前を左折。
Fan & Mortar 2001年7月3日 45分 100+ オールド・フェイスフルからビスケット・ベイスンへの舗装道路の終点近く。 ファイアーホール・リバーを渡った左側。
Giant 2001年4月15日 1時間 200+ グロットー・ガイザー手前をガイザー・ヒルの方へ少し戻った所。
Giantess 2001年5月5日 12-48時間 150+ ガイザー・ヒルの向こう側
Grand 9時間16分 10分 160+ ガイザー・ヒルからグロットー・ガイザーへの木道の途中。 または舗装道から右折。橋の向こう側。
Old Faithful 89分 1.5-5分 106-184 ビジター・センター裏
Riverside 6時間10分 20分 75 オールド・フェイスフルからビスケット・ベイスンへ向う道路途中右側。 グロットー・ガイザーの先。 川向こう。

上記の情報は2001年7月中旬のものであり、熱水を噴出するガイザーも、またその噴出間隔、噴出高度、噴出持続時間も変わるので、この地を訪れたら必ずビジター・センターで確認のこと。

Old Faithful Geyser in the eveningオールド・フェイスフル・ガイザー

ビジター・センターのすぐ裏に位置するオールド・フェイスフル・ガイザー Old Faithful Geyser は、そのロケーションの良さと噴出高度の高い間欠泉の中では最も噴出間隔が短いため、その噴出を最も見やすいガイザーである。 またその噴出間隔の正確なことでも知られ、そのために1870年のウォシュバーン探検隊によってオールド・フェイスフルと名づけられた。
最近の平均噴出間隔は89分であるが、その間隔は45分から120分とその時々の諸条件によって変化する。 その1.5分から5分の噴出時間中に14,000から32,000リッターの沸騰水を30から50メートルの高さまで吹き上げる姿は雄大である。
右の写真はオールド・フェイスフルについた日の午後8時過ぎの噴出の模様である。 緯度が高いため夏季は9時ごろまではガイザーの噴出を堪能することが出来る。
ビジター・センターの裏には3列のベンチが300〜400メートルにわたり設けられているが、それでも毎回立ち見が出るほど人気のあるガイザーだ。 この観覧席から間近に見るのも良いが、1.5Kmほど歩いたところにあるオブザベーション・ポイント Observation Point に登り、彼方に見えるオールド・フェイスフル・ガイザーの噴出をオールド・フェイスフル・インをバックに見るのもすばらしい。 

キャッスル・ガイザー

オールド・フェイスフルからビスケット・ベイスンへ向う舗装道路を1km程行った道路の右側、グランド・ガイザーなどへ向う木道の手前にキャッスル・ガイザー Castle Geyser は位置する。
この間欠泉は温泉中の沈殿物(湯の花)が写真でご覧いただけるように、噴出口の周りに成長しておりその規模は世界最大と言われる。
私達は約12時間ごとといわれるその噴出を見ることは出来なかったが、30〜40分の大きな音を発する水蒸気の放出の後、時に27mにも達する熱水の放射を20分ほど行う。

Grotto Geyserグロットー・ガイザー

グロットー・ガイザーはビスケット・ベイスンへの舗装道路とガイザー・ヒルからの木道が合流する所に位置しており、私達はこの前を何回も通過した。 その度に不気味な形をした火山すいからゴーゴーと言う音と共に水蒸気を噴出していたので、これが噴出かと思っていたが、突如本格的な噴出が始まった。 ガイドのリーフレットを見ると、その噴出高度は3メートルほどで1.5-10時間以上続くとあり、たまたま私達はその長い緩やかな噴出時間中にその前を何度か通り、しかもその勢いの最高潮のときに接したようだ。 そのスチームの量は圧倒的で、ごらんのようにほとんどその火山すいが見えなくなってしまう。
グロットーの噴出熱水量は波動的とでも言おうか、強くなったり弱くなったりし、海辺の岩に波がぶつかり砕け散るような音を発する。
このグロテスクな火山すいはここで生育した植物の幹の周りに出来たと言われる。

Daisy Geyser

デイズィー・ガイザー

デイズィー・ガイザー Daisy Geyser はオールド・フェイスフルからビスケット・ベイスンへ向う道路のほぼ中間、グロットー・ガイザー手前を左に入ったところにあり、ビジター・センターからはおよそ2kmといった所だ。 この道を取った場合にはすぐビスケット・ベイスンに向う右側に向う間道があるので、そちらへ行かず左側の木道を行く。 デイズィー・ガイザー、コメット・ガイザー Comet Geyser、スプレンディッド・ガイザー Splendid Geyser の3つの間欠泉の観覧席にすぐ行き着く。 この木道をさらに進むと、T字路にさしかかる。 右に行けば1マイル弱でブラック・サンド・ベイスン Black Sand Basin に至り、左に曲がればこの三つの間欠泉を反対側から見ることが出来る場所に至る。 ここにもベンチがある。 右写真はその地点からのものである。 さらに進めばビジター・センターからビスケット・ベイスンへの舗装道路に出る。
このデイズィーはおおむね90-125分間隔で噴出し、その熱水は23メートルほどの高さまで吹き上げ、3-5分続く。 デイズィーが熱水を吹き上げるときに発する音は軽やかな「シー」と言う音であった。

Riverside Geyser

リバーサイド・ガイザー

グロットー・ガイザーを過ぎるとすぐに右に曲がる舗装道路がある。 この道を取るとすぐファイアーホール・リバー Firehole River の袂に出、ベンチが並んでいる。 この川向こうにリバーサイド・ガイザー Riverside Geyser はある。
このガイザーの噴出時刻はこの地域で最も予測しやすいと言うことだが、私達の訪れた時は予測時間になってもなかなか噴出を始めない。
ここの噴出予測時刻の15分後がデイズィーの予測時間であった。 リバーサイドの噴出継続時間は20分で、デイジィーのそれは3-5分である。 そこで思いきってデイズィーの方へ向ったところデイズィーはすぐ噴出を初めた。 それを見た後すぐにここに戻るとリバーサイドは噴出を始めていた。 ここの噴出時の音はデイズィーに比べると多少重厚な感じがする。 ここは5時間半-7時間半間隔で噴出し、約23メートル吹きあがり、虹が良く見られる。 なお噴出の1-2時間前から火山すいから温泉が湧き出す。

Morning Glory Poolモーニング・グローリー・プール

ビスケット・ベイスンへの舗装道路はやがてファイアーホール・リバーにかかる橋にさしかかる。 この橋を渡った川沿い左側にファン・アンド・モータル・ガイザー Fun & Mortal Geyser があり、右側の奥まった所にこの道路上唯一のトイレがある。 ここから先は舗装されていない。
アッパー・ガイザー・ベイスンで最も人気のあるスポットの一つであるモーニング・グローリー・プール Morning Glory Pool はこの橋のすぐ先左側だ。 この温泉はその朝顔に似た形状から1880年代にこの名前がつけられた。 この澄んだブルーの美しいプールにはそれ以来コインやごみや石などが投げまれ、それらが温泉の湧出口をふさぎ温泉の湧出を減少させてしまった。 そのために温泉の温度は下がり、オレンジ色や黄色のバクテリアの繁殖を許してしまい、写真のように周りが黄褐色となってしまった。 もともと周りが黄色かったのではないこと、また毎年ここに投げ捨てられたものを清掃していることを留意されたい。

Grand Geyserグランド・ガイザー

このグランド・ガイザー Grand Geyser は、噴出時間の予測可能な間欠泉の中では、世界で最も熱水吹き上げ高度の高い間欠泉だ。
その噴出持続時間は9分から12分といわれ、この時間の中で噴出が弱くなったりまた激しくなったりを繰り返すことがある。 私達が体験したときも、一度これで終わりかと思ったほど噴出が収まった後、もう一度すさまじい勢いで噴出を始めた。 オールド・フェイスフル・ガイザーの噴出が比較的変化に乏しくおとなしい(安定的と言うべきか)のに比べ、こちらは爆発的にと表現したいほどダイナミックで変化に富んでいる。 その高度は時として60メートルにも達する。
この地を訪れたらオールド・フェイスフル・ガイザーは間違い無く見ることが出来ると思うが、運良くこのグランドの噴出予測時刻まで滞在できるのであれば、何を置いてもここだけは見ておくことをお奨めする。 ただしその予測時間に到着したのではすでに噴出が終わってしまっていることがあるので、予測時間の1時間前位から待つことを推奨する。 それだけの価値がある。
このガイザーは、ビジター・センターからビスケット・ベイスンの方へ1.5kmほど舗装道路を行った所から右に木道を500m程行った所だ。 噴出予測時間の前後には多くの人が噴出を待っているので迷うことは無いだろう。 ガイザー・ヒルからグロットー・ガイザーへの木道沿いでもある。

Grand Geyser

オブザベーション・ポイント

このオブザーベーション・ポイントへのハイキングもビジター・センターからループ状に約3.4km程とちょっと距離があるが時間があればぜひ訪れたいところだ。 ここからはオールド・フェイスフルのビレッジを背景にオールド・フェイスフル・ガイザーの噴出を堪能できる。 下の写真はオブザベーション・ポイントの少し下から撮ったもので、たくさんの人々がオールド・フェイスフル・ガイザーの噴出をを鑑賞している様子がおわかりいただけるだろう。

Old Faithful Geyser from Observation Point

Sapphire Poolビスケット・ベイスンへ

ビスケット・ベイスン Biscuit Basin へはモーニング・グローリー・プールの先から未舗装の道をさらに先へ進む。 この道をビスケット・ベイスンまで行く人は皆無に近くなり、バイソンや熊が出ないことを祈りつつ進む。 すばらしい景色の中、道端の所々に小さなプールやガイザーを見ながら歩く。 ロワー・ループの車道を横切ると、ビスケット・ベイスンの駐車場で、ビジター・センターから約5kmだ。 ここを訪れる人の大半は車で来る。
川を渡り木道を行くと、まず右手にサファイア・プール Sapphire Pool (右写真)がある。 ここは公園の中で最もブルーの美しい温泉だ。 ビスケット・ベイスンのビスケットとはこのサファイア・プールの周りに沈殿していたビスケットのような形状の物質に由来するが、1959年の地震に続くサファイア・プールの噴出により現在は見ることが出来ないYellowbellied
マスタード・スプリング Mustard Spring は水の色がからし色なのではなく、これもまたバクテリアの色を反映している。
ビスケット・ベイスンからは先程来た道とほぼ平行してグロットー・ガイザーわきに出るさらにさびしい道をたどった。 この道の両側には花が咲き乱れ、小動物が道端に姿をあらわす。 左の写真はイエローベリード・マーモット Yellowbellied Marmot だ。